
1920年代、ニューヨークのアルゴンキン・ホテルのレストランは当時、ニューヨークで活躍する詩人、作家、コラムニストたちが三々五々集まるたまり場になっていた。時には30人近くに膨れ上がる文士たちの為に、ホテル側はレストランの一隅に特別の大きなテーブル=“アルゴンキン・ホテルの円卓”を用意し、この円卓は20年代ニューヨークの文学サロンを示す代名詞として使われるようになった。映画はそんなサロンに集い、“プリンセス・チャーミング”と愛されたコラムニスト、ロバート・ベンチリーの恋と生きゆく様を描いてゆく。物語はロバート・ベンチリーの孤独と苦悩をかかえた半生を描きながら、当時の文士たちの模様を彩っているが、同様の雰囲気を持つ「モダーンズ」が幻惑的な色を良く出しているのに対し、本作はやや淡々としすぎている印象がある。話の起伏も余り感じられず、題材の目の付けどころが良いだけに惜しい感が残る。