
映画の撮影で訪れたクルーが泊まるホテルを舞台に、それぞれの思惑が入り乱れ混沌とするさまを官能的かつミステリー・タッチで描いた群像劇仕立てのブラック・コメディ。監督は「リービング・ラスベガス」のマイク・フィギス。同じホテル内で同時に進行する4つのシーンを4台のデジタル・カメラで同時に撮影し(それぞれのカメラは互いのシーン内を交錯)、それを4分割の画面で映し出すなど実験的な試みが行われている。また演出面でも、監督はそれぞれのキャラクターだけを設定し、演技のほとんどは俳優陣のアドリブによって行われた。
イタリア・ヴェニスのリド島に構えるホテル・ウンガリア。この、従業員もどこか不気味で怪しげな趣のホテルに映画の撮影クルーが宿泊している。彼らは、イギリスの劇作家ジョン・ウェブスターの『マルフィ公爵夫人』の映画化に取り組んでいた。だが、ワガママな監督トレントをはじめ、出演者やスタッフの思惑が絡み合い、撮影はなかなか進まない。さらに、取材に来た女性レポーター同士がケンカを始め、現場は事態を収拾できずにいた。そんな中、トレントがリハーサル中に何者かに銃で撃たれ、昏睡状態に陥ってしまう。