
「ヘル・レイザー」「キャンディマン」等を送り出したモダン・ホラー作家、C・バーカーによる自作の映画化。しがない私立探偵ダムーアの目前で、依頼人にしてマジシャンのスワンはショーの最中に事故死してしまう。ダムーアは未亡人となったスワン夫人のドロシアに魅かれてゆくが、その夫婦には恐ろしい過去があった。10数年前にカルト教団で共同生活をしていたスワンらは、強大な魔術の使い手である教祖ニックスに反旗を翻し、彼を殺して地中に埋めていたのだ。やがてダムーア自身も、ニックスの復活劇にともなう事件の渦中に巻き込まれて行く……。原作者バーカーが、制作から監督まで4役フル回転で作り上げた意欲的なホラーだが、悪役ニックスに「ヘル・レイザー」のピンヘッドのような魅力が感じられず、敵味方とも感情移入できるキャラクターがいないのは辛い所。ただ、ハードボイルドと魔術との融合ドラマという部分に新味も感じられ、また視覚的に面白い技術もいくつか使われている。日本向けのビデオでは、巻頭にバーカー自身の挨拶が収録されているのも話題。『コノ、ビディオハ、ワタシガ、トク、ベツニ、ヘンシュ、シマ、シタ』といった日本語でファンなら必見もの。