
「白いドレスの女」などのカスダン監督が珍しく手がけたコメディだが、作品的にも興行的にも惨敗し、以後、彼はこの種の軽い主題を扱っていない。だが、凡作と切り捨ててしまうには勿体ない味わいが、ことに浮気性の主人公(K・クライン)の愛妻を元気に演じるT・ウルマンにはある。夫婦の経営するピザ屋は、味の評判で大繁盛。クラインは働き者を絵に描いたような男だが、精力が有り余って、妻の他に何人もの女を渡り歩く始末。業を煮やしたウルマンは、彼女に想いを寄せる店員のR・フェニックスと共謀し、夫を亡き者にしようと企むのだが……。W・ハートとK・リーヴスが、殺人を請け負いながら何もしない、奇妙なホームレスの二人組で出演する。フェニックスの不器用な若者像の造形も悪くない。