
'50年代後半、アメリカ全土を衝撃の渦に叩き込んだ実話の映画化。1956年、アメリカ中が熱狂し、社会現象にまでなっていたテレビのクイズ番組“21(トゥエンティ・ワン)”。コロンビア大学の講師チャールズ・ヴァン・ドーレンは、そんなクイズ番組が生んだ最大のスターだった。彼は“21”で無敵を誇ったハービー・ステンペルを打ち破った名門出の若くハンサムなクイズ王として、タイムやライフの表紙を飾り、一躍TV界の人気者となってゆく。しかし彼の人気の裏には、ある仕組まれた重大な疑惑が隠されていた。センセーショナルな実話を基に、アメリカの道徳観とテレビの持つ影響力の脅威を、パワフル且つ繊細な演出で描いた監督レッドフォードの手腕は流石! またステンペルを演じる、「バートン・フィンク」「ジャングル・フィーバー」のJ・タートゥーロの彼特有の妙演も見所の一つ。メディアに対する価値観を大きく揺るがし、古き良きアメリカの終焉を告げる米国の姿がショッキングに伝わってくる興味深い作品である。