
ガス・ヴァン・サント監督の長編映画デビュー作。1971年、オレゴン州ポートランド。この街のゴロツキ、札付きの麻薬常用者ボブは、妻のダイアンともう一組のカップルを仲間として街中の薬局を荒し回っていた。ある日、ボブは大病院を襲いひとヤマあてたが、仲間の一人、ナディーンの小さなミスで危うく失敗しそうになった為、怒りが爆発し、仲間の間に亀裂が入る。そんな中、ボブが盗んだドラッグをこっそりくすねていたナディーンは薬を常用して死んでしまう……。影のあるユーモアとショッキングな映像で、ドラッグの本質と、それなしでは生きられない状況下に置かれた人々の日常を描いてはいるが、映画自体には教訓めいた所はなく、賛と否のどちらにも偏らない退いた視点で物語を語っている。そしてドラッグを打った時に現れる幻覚をシュールな映像で描き、打った時と切れた時に訪れる彼らの精神状態の極端な変化、ドラッグの魅力と恐怖の両局面を実にクールに捉えた秀作。