
原題は、るつぼのこと。17世紀末にマサチューセッツ州セイラムで実際にあった“魔女狩り事件”を基にして、集団ヒステリーを起こした共同体の姿と、自分の身を守るための根拠のない密告によって人々が分断されてゆく姿を描く。召し使いの少女アビゲイルは、ジョンとの不倫が妻エリザベスに知られ、家を出ることになった。アビゲイルは復讐のため、他の少女たちを利用してエリザベスを魔女にし立て上げることに……。原作者で脚色も担当したアーサー・ミラーは、ハリウッドで50年代に起きた反共産主義ヒステリーに反抗して、この作品を書いた。主人公であるジョンが不条理な魔女裁判に立ち向かう姿には、心を震わせるものがある。